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↑逆転↓御斗戯世界

第4章 深いのはお好き?

【Side: 璃斗】

いきなり人の唇を奪ったと思ったら、今度はとんでもないことを言い出した目の前の、自称魔法使いの誘拐犯は、さっきまで着けていたフードがついたローブ的な上着のポケットから、よく見かけるような市販のガムを口に入れて、もぐもぐと口を動かしていた。

そう、何事もないように。

私もそんな涼しい態度がとれればよかった。キスの一つや二つ、人生には何回も経験するだろうし、さっきのキスは数秒だけ、一生のうちの、ほんの瞬間的な時だったとは思う。けど。

けど、問題はそこじゃないわけで。

私が先程から怒りに拳を震わせて、真っ赤になっているのは、そんな時間的な問題じゃなくて…

”キスをされた“という事実が問題なのだ。

(きす、された…。)

きす、キス、鱚、Kiss、(^з^)チュー

何度も言うけど、私は恋愛なんて全く興味がない。キスも付き合った人もいない。いなかった。

でも、このよくわからない状況下で、よくわからない魔法使いに、よくわからない理由で、初めてキスをされた。

「なに…」

もう、頭がこんがらがって…

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