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あたしのご主人様!

第1章 プロローグ


 あたし、羽田愛華(はねだあいか)が自分の性癖におぼろげながらも気付いたのは、高校三年生の時。二人目の彼氏との何度目かのエッチの時だった。

 ホテルの部屋のベッドの上で。彼がふざけてベルトであたしの両手を縛ったのだ。


「こういうのどう? ちょっと興奮しない?」


 多少遠慮がちに、それでも意地悪な顔で聞いてくる彼に、あたしの心臓は今までと違う鼓動をした。

 何これ? すごくぞくぞくする。

 初めての感覚にあたしは戸惑った。


「興奮……する、かも」


 恥ずかしくなって顔を隠して答えるあたしに、彼も興奮するよと言った。

 一人目の彼氏は淡白なエッチしかしない人で、高校生だったのもあり、お互い初めてだったのも手伝い特別な欲求というのはわかなかった。

 だけど、二人目の彼氏で気付いてしまった。

 自分はもしかしたら、『フツーじゃないこと』が好きなのかもしれない。ノーマルじゃなく、アブノーマルに片足を突っ込んだことが。

 高校を卒業し、遠距離になるのを機にその彼氏とは別れてしまったけれど、いろんなエッチに対する興味は増すばかりだった。

 そんな時だ、あたしがあの人に、ご主人様に出会ったのは――。

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