 
向かいのお兄さん
第14章 影
ガチャ…
直也がいなくなったあと、閉めたロッカーの扉は開けられた
「…へえ…あの子が…」
手にした携帯を元の位置に戻し
ロッカーは再び閉められた
―――――
「美咲ー、いつまで寝てんの?」
あたしはその声に反応し、目を開けた
遥の顔が、90゚傾いてあたしの目の前にあった
『ぅわわ…』
あたしは口の端から垂れた涎を拭い、机から顔を離した
「3限目から、ずっと寝てんじゃん」
『うん…眠いの』
最近、直也との接触はない
なぜかはわからないけど、嬉しいことに変わりはない
だからこの頃は、夜更かししてでも勉強してる
それが裏目に出て、授業中寝てしまうっていう悪循環に陥ってるんだけどね
 
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