 
向かいのお兄さん
第22章 入り混じり
呆然と立ち尽くすあたしに、和樹は話し掛けた
「…さっきの…マジかな…?」
『…』
「あの様子じゃ、俺のことも忘れちまったかなー?」
忘れた
なんて
言わないで
『直也は…大丈夫だもん…』
最近は泣くことしか出来なくて
直也には泣かされることしかなくて
『直也は大丈夫だもん…』
干からびちゃうんじゃないかってくらい流してしまった涙を
あんたはいつになったら
拭ってくれるの…?
「…だな、直也は大丈夫…」
今はそう信じることしか…
出来ないんだ
直也は
大丈夫だって…
 
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