 
向かいのお兄さん
第22章 入り混じり
―――――――――――
「診断の結果としては…記憶喪失ですね」
医者の診断結果に
あたしも和樹もため息をついた
やっぱり
そうだったのか
『記憶喪失って…自分のことも…?』
「いえ、本人は自己をしっかり認識しています
日常の生活には差し障りないのですが…」
医者はゴホンと咳ばらいし、机に腕を置いた
「記憶の一部が…ね」
「それって、最近のことが思い出せないってことっすか?」
「そうも取れますが…何せその記憶がちぐはぐなもので…
最近のことでも覚えていることはあります。
しかし私どもは神崎さんをそれほど良く知らない…」
あなた方のほうが、神崎さんをよくご存知でしょう
少しずつでも話し掛けて下さい
何かふとしたことで思い出せるかもしれませんし…
神崎さんが完全に戻るまで、がんばりましょう
『…』
 
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