向かいのお兄さん
第35章 彼女
「誰かにひどいこと言われたのか?
財布すられたのか?」
『…』
「じゃあ、男か」
その言葉に、歩いていた足をピタリと止める
「図星だね」
『…ほっといて下さいよ…』
馬鹿にされそうで
仕方ない
付き合っていた相手が
急に人が変わったようになったなんて…
「ほっとけないよ」
『何でですか?』
「美咲ちゃんだから」
ニコリと笑って顔を傾げると、軽く染めてある髪がサラサラとこぼれた
…アイドルみたい
『…また、話したくなったら話しますから…
今は、ひとりにさせてください』
「そう?」
『そう』
どこか寂しげな表情を見せ、寺内先輩は軽くあたしに手を振った
あたしもそれに会釈で応え、学校をあとにした
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