向かいのお兄さん
第35章 彼女
この一瞬で
もう想像できた
「どうしたのー?」
首を傾げながら扉にもたれ掛かる由紀先輩は
下着にパーカーを被っただけの姿だった
『いや…あの、メール来たんで…直也から…』
「メール?
間違いじゃないかなぁ、直也ずっと寝てたし」
そう言いながら、ふっと部屋の中へ目をやる由紀先輩
香水でもつけているのか、ふんわりといい匂いがした
『…由紀先輩は、何で直也の…部屋に?』
「あたし?」
わざとらしく自身を指差して、目を大きく開いてみせる
「そりゃ彼女なんだから、部屋にいてもいいじゃんっ」
『…』
彼女?