 
向かいのお兄さん
第36章 どっち
―――――――――――
わかんない…
わかんないわかんないわかんない…
わかんない…
あたしはもう…
どうすることも出来ない
「あ、美咲ちゃんだ」
ちょうど家の前で、出勤してきたかっちゃんとすれ違った
あたしは顔を見せないように会釈して
その場を通り過ぎようとしたけれど
かっちゃんは、あたしの腕を掴んで自分の方へ向けさせた
「…」
『な…何ですか…?』
「…泣いてる」
その言葉に上を向くと、かっちゃんはあたしの顔をじっと見ていた
一度その目を見てしまうと、もう離すことが出来なくて
しばらくずっと
目と目が合っていた
 
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