
向かいのお兄さん
第36章 どっち
『うっ…うっく…ふぅ…』
ぐちゃぐちゃもいいとこだ
あたしの顔はもう、人に見せられるようなレベルではない
それでもかっちゃんは、あたしの背中をポンポンと叩いていてくれる
「でー、どうしたんだよ?」
『あたし…捨てられたんだ…捨てられたんだぁああ!!』
今度はかっちゃんにしがみついて
泣きわめく
「わーかったから、言ってみな?
何があったかさ」
あたしはかっちゃんから顔を離し、
一旦鼻を啜ってから口を開いた
『さっき朝に…直也からメールが来たんです』
「どんな?」
『今から家に来いって…』
あの瞬間、どうしようもないくらい喜んでしまった自分が
馬鹿みたいだ
