
向かいのお兄さん
第36章 どっち
「いっ…てー…」
かっちゃんは打たれた頬をさすりながら
直也を見上げた
ゆっくりとその腰を上げ、
こちらを睨んで来る直也の前まで歩み寄る
「手加減っての、知らねーの?」
やられたらやり返せ
今度はかっちゃんのグーが、直也を殴り飛ばした
よろけながら壁に背をつき、
殴ってきた相手を睨みつける
「最後までって…どういうことだよ…?」
「そりゃあ、最後までだよ」
「美咲のやつ…拒まなかったのか…?」
手の甲で、口の端をじわりと伝う血を拭う
かっちゃんはまた
微笑した
「拒むかぁ…
俺、夢中だったから覚えてねーや」
「…ざけんなよ!!!」
また、直也はかっちゃんの胸倉を掴んだ
