
向かいのお兄さん
第36章 どっち
顔を上げると、すぐ前まで直也が距離を詰めていた
どうした?と聞く暇もなく、直也の手がかっちゃんの胸倉を掴む
そしてバンッとロッカーに押し付けた
「あいつに…何したって?」
「顔怖いよ?
先にこの手を離せ」
「いいから言えよ…」
締め付ける手に、さらにギリギリと力が篭る
かっちゃんは微笑して、直也に嘲るような目を向けた
「何したと思う?」
察しがつくのかつかないのか
直也はギュッと下唇を噛んだ
後押しするように、かっちゃんは言葉を並べた
「最後までだよ、ごちそうさま」
その瞬間、直也の拳がかっちゃんの顔に入った
ガシャンッ
と盛大な音を上げて、立ててあったパイプ椅子もひっくり返る
