
向かいのお兄さん
第37章 限界
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『こんにちは』
数日後、あたしはサークルに顔を出した
適当に挨拶が返ってくるが、全てあたしを通り抜ける
何となく部屋を見渡すけれど、やはり由紀先輩の姿はない
当たり前か…
佐藤造花店で、バイトしてんだから…
「よっ、美咲ちゃん」
『寺内先輩…』
寺内先輩に手招きされたので、あたしは先輩の隣に椅子を持ってきて座った
「で、どうなった?
話してくれる気になった?」
『…はぁ』
どことなく元気な先輩に、あたしは苦笑するしかない
『…じゃあ…話、聞いてください』
あたしがそう言うと、待ってましたとばかりに
先輩は嬉しそうな顔を見せた
何が嬉しいんだろ…?
