 
向かいのお兄さん
第38章 不器用なあんた
――――――――――
正直言うと、今日と言う日は来てほしくなかった
『はぁ…』
昨日もなかなか眠れなくて、鏡を見なくても顔が腫れぼったいのがわかる
眠れなかった理由は、ひとつしかない
今日は直也に
別れを伝える
…悲しむかな
…喜ぶかな
…どっちでも
いいや
『…』
朝食は軽めに
もう部屋着のまま
一日中、やることもなく
夕方が来るのを待った
コチコチと針が時間を刻むたびに
ドキドキとあたしの鼓動も時間を刻む
そして
ああ
夕方に
なっちゃった
あたしは上を一枚羽織ってから、踵を踏ん付けたままスニーカーを履いて
ゆっくり家を出た
 
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