 
向かいのお兄さん
第39章 元通り
「なんだ、戻ったのか」
単調な言い方で、そう聞こえた
そっちに顔を向けると、かっちゃんが立っていて
目が合うや否や、深いため息をつかれる
「…何だよ」
何だか直也が、ピリピリしているように感じた
あたしを自分の後ろに隠して、かっちゃんを睨みつける
「警戒すんなよ」
「うるさい、美咲に近づくな」
「へー…」
かっちゃんは直也に近づくと、体を曲げて、後ろにいるあたしの顔を覗いた
「こいつ、俺と美咲ちゃんがヤったって思い込んでるよ」
『はい?』
「だから近づくなって!!」
バスケのディフェンスみたいに、手をブンブンと振る直也に
あたしはつい笑ってしまう
 
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