
向かいのお兄さん
第45章 寒そうだから
『目、つむって』
「…?」
言われるがまま、直也は目を閉じた
それを確認して
あたしは紙袋の中身を取り出した
『いいよ』
あたしの声で、直也は今度は目を開ける
そしてあたしが差し出している物を見て、その目をまん丸にさせた
「…くれるの?
…マフラー」
あたしはもう少し、ズイッと直也の前に出した
『うん』
直也はマフラーを手に取ると、さっそく首に巻いてみせた
「おっさん色…」
『直也には合うかと思って』
すると直也は、マフラーの先にあるほつれを触って
あたしの顔を見た
「手作り?」
『…うん…///』
やっぱり…売り物みたいに器用には作れなかった
