
向かいのお兄さん
第45章 寒そうだから
『あ…あああんまりほつれ、触っちゃダメだよ…!?
すぐほどけちゃうから…』
そう言うあたしの側で
直也はマフラーを軽く引っ張ってみせた
『ひ…引っ張ってもダメ…!!
伸びちゃうし、隙間が出来たら風通っちゃうし…!!』
「そんなに言われちゃ、つけらんないじゃん」
『だっ…て…』
まあ
その通りだけど…
『下手で…ごめん』
あたしが俯くと、直也はクスッと笑った
そしてゆっくりと
あたしの頭を撫でてくれた
「あったかい」
『…///』
「ありがと」
お礼のキスを
ほっぺに軽く
落としてもらった
