
向かいのお兄さん
第48章 君が初めて
あたしは直也の顔をまじまじと見た
「…何だよ…?」
『いや…』
やっぱりなんか…初々しいな…
どこか、中学生らしい幼い感じがする
『…可愛い』
「はあ!?///」
直也は一歩、あたしから離れた
その顔はほんのり赤い
『…照れてる』
「照れてねーし」
直也はすぐに平静を装ったが、あたしの目はごまかせない
さっきの一瞬…絶対照れてたな
『…帰るの?』
「…あんたは帰らないの?」
『…』
そっか…
もしかしたら、家、あるかもしれない
6年前の
あたしの家…
もしかして…そこには6年前のあたしもいるのかな…?
『…どうしよっかな』
「何が」
直也はもう、鞄を背負っていた
帰る気満々だ
『帰っちゃうの…?』
「当たり前じゃん。
施錠されるってさっき言ったろうが」
冷たく跳ね退けられる
『そっか…』
