
向かいのお兄さん
第48章 君が初めて
『え…あの…』
直也はあたしを引っ張って
教室を出た
『あたし、いいから…直也帰れば…』
「…」
手を引かれるあたしからは
直也の後ろ姿しか見えない
『ねぇ、聞いて…』
「止まってるより…」
一階に下りると
すぐ近くにあった窓を
直也は開けた
「何か行動してたほうが、後悔しないよ」
『…』
あたしの知ってるあんたより
6歳下のあんたは…
「そう思わね?」
姿も中身も、少年だったけど
『…思う』
それはそれで
どこか頼りがいがあったよ…?
直也は窓枠に手を掛けると
外に飛び降りた
ストンと綺麗に着地すると、あたしに手を差し延べる
「どうぞ」
『クスッ、何様?///』
あたしは直也の手を握ると
同じように
窓から学校を出た
