
向かいのお兄さん
第49章 幼いお前
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「――――で…」
まず目に飛び込んできたのは
花も葉もついていない、百日紅(サルスベリ)の木だった
それが左右にアシンメトリーに植えられていて
根本には、じゅうたんのように落ち葉がたくさん敷き詰められていた
「…ここどこだよ?」
直也はポリポリと顔を掻いた
百日紅の向こう側には、校舎が見える
手前に堂々と建てられている物は、その校門だろう
「…」
俺さっきまで、美咲の部屋にいたのに…
なんか…ぐわぁぁぁってなって、ぶぉぉぉってなって
気がついたらこんなところに突っ立っていた
曇ってはいるものの、辺りは黄昏れ色をしている
「で…ここどこだよ?」
