
向かいのお兄さん
第49章 幼いお前
「巣から落ちた雛は、助かることはないんだ」
『…!!』
大きな衝撃を受けたように
美咲の目に動揺が見えた
「雛の親は、巣から落ちた子供を助けられないから」
『…なんとか…できないの…?』
「俺や美咲は、あの雛の親じゃないから…」
『でも…そしたら…そしたら…』
「でもな」
少しでもお前が
背負わずにいられたなら…
「あの雛は、絶対美咲に感謝してる」
『…』
「美咲があの雛のために一生懸命やったことは…雛にもちゃんとわかってる」
『…ほんとに?』
最後の最後の確かめのように
美咲は下から、俺の顔を覗くように見上げた
「ほんとに。
あの雛のために、お墓つくってやろ?」
本当は
とっても優しい美咲…
「お兄ちゃんも手伝うから」
こういう面をあんまり見せてくんないから
『うんっ』
今
嬉しい…
