 
向かいのお兄さん
第49章 幼いお前
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地面に掘った穴に
粗末な藁を敷き詰めて
雛をそっと埋めた
『さようなら…』
美咲は両手を合わせて
そう言った
「美咲…」
呼び捨ては
馴れ馴れしく聞こえるだろうか…
まあいいや
美咲だもん
「ここ、どこか知ってる?」
『小学校だよ』
美咲は子どもらしい笑顔を向けてくれた
雛のことは、いくらか踏ん切りがついたようだ
「ほかの友達とかは?」
『みんな、先に帰っちゃった』
美咲は雛の面倒を見るために、ひとりでここに残ってたんだろうな…
ぽつ
ぽつ…ぱららら…
『あ、雨だ!!』
「うわ…」
刺すように冷たい雨が、頭の上に降ってきた
 
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