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向かいのお兄さん

第52章 わだかまり







「直也は、かわいそうな奴だよ」





『え?』






雅也さんの意外なひと言に、あたしは目をまん丸にさせた





『かわいそう?』





「ああ、かわいそう」





レシピ本をパサリと閉じ、雅也さんはその表紙に目を落とした






「あいつは、オレより劣ってた」




『全部…ですか?』




「ほとんどかなー…
勉強だってスポーツだって、社交性もルックスもみんなオレの一歩後ろだった」






『…』





直也って、何でも出来るイメージあるんだけど…





「オレらが小さい頃、ばあちゃんがいたんだけどさ…
あの人がまた性格悪くて…、いっつもオレと直也を比べてた」




『直也…おばあさんに可愛がられてなかったとか…?』





「正解。
まぁ、ばあちゃんが全部の要因じゃねーけどな…」






可愛がられてなかった…?






「だからあいつ、オレを追い抜かそうと何でも必死になった。
…それが中学、高校まで続いて…まぁ、努力家になったんだよな」





『…』






知らない一面…




ちょっと


嬉しいかも








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