
向かいのお兄さん
第52章 わだかまり
「直也って、争いごとは自分から身を引くタイプなんだ。
でも美咲ちゃんが絡むとどういうわけだか…」
雅也さんは肩を上げてため息をついた
「敵意剥き出しに、なんだよねー」
『///』
喜んでいいのかわからない
それでも顔が赤くなってしまうのは
素直に嬉しいからか…
それとも、雅也さんのあたしを見つめる瞳が
怖いくらい澄んでいるからか…
「なんにせよ、うらやましいカップルだよー」
『…ぁりがとぅござぃます…』
とりあえず、お礼を言っておいた
―――
「あ、もう8時前か…」
『あ…』
また直也に、誤解されちゃうかも…
「んじゃオレは、おいとましようかなー」
『本当に、迷惑かけてすいません』
「迷惑だとか、思ってないよ。それより明日は最後の仕上げだからなー?」
雅也さんはニヤニヤしながら、あたしの顔を指差した
『分かってますー///』
「いい返事だ」
あたしは玄関まで
雅也さんを見送った
