
向かいのお兄さん
第52章 わだかまり
あたしは直也の目の前に立った
直也はニコリともしないで、あたしの首辺りにずっと目を落とす
『…何?』
何も動かない直也を、不思議に思う
下から覗くように頭を動かすと
直也の手があたしの肩を掴んだ
『…!!』
そのまま壁に両肩を押さえ付けられて
あたしは身動きが取れなくなった
『な…直也…?』
閉ざされた口は、いっこうに開く気配がない
すると突然
唇を塞がれた
『んっ…///』
すぐに舌が入って来ると
頭の先から足の先まで、震えてしまいそうになった
『ん…はぁ…///』
足の間に、直也の足が突っ込まれてくる
その密着した感覚が
身体をほてらすようだった
「…また…」
『…?///』
唇と唇の隙間から
直也は呟いた
「また…会ってたわけ…?」
