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向かいのお兄さん

第53章 崩れ





でも…




ああ



あたしってつくづく馬鹿だ…







「じゃあね」




『…』





車に乗り込んであたしに手を振ってくれる雅也さんに

手を振り返すこともできないで





あたしは

その車の向こう側からこっちを見ている直也から




目を離せなかった













『…直也…』





「?」





雅也さんはあたしの視線の先に目をやって



そうして視界に映った直也に


手を振った








直也は顔を背けて、建物の中に入っていき




雅也さんは苦笑しながら


車を走らせた













あたしはもう



後悔しかしなかった















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