テキストサイズ

向かいのお兄さん

第53章 崩れ



――――――――――




バシャンと水面を叩く



そうして出来る水面の底に



あたしの足がユラユラと見える







『…』






お風呂の中で


考えた




そりゃもういろんなことを考えた






明日、どうやってお菓子を渡そうか

とか


今、直也は怒ってるのかな…

とか


ちゃんと謝らなきゃな

とか


「おいしい」って、言ってくれるかな…








とか…














天井についた水滴が

落ちてきたんだと思った




立ち上ってくる湯気で

目が曇ったんだと思った







『…』






どっちも





違った











あたしが





泣いてた













―――――
―――




ストーリーメニュー

TOPTOPへ