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刑事とJK

第98章 根城の裏で笑う者〜後編〜


突然すぎる話に、斉藤は目をパチクリさせた。





「どういうことだ」





冗談だとは受け取らない。


実際、遠藤という刑事がこの刑事課内で殺害されているのだから。





「僕が手を洗っていたら、突然電気が消えました。
うろたえていると足音が聞こえてきて、だんだんこっちに近づいてくるんです。」




嘉山の出した声は小さかった。

斉藤にだけ伝えたいからのことであった。




「僕は誰かいることに安心して声を掛けたんですが、いきなり金槌のようなものを振り下ろされました。
…相手もよく見えてなかったみたいで頬をかすめるくらいしか当たらなかったんですが、当たらなかったからと向こうはもう一度殴りかかってきました。」




腰が抜けて上手く避けれたんですけど…と苦笑する顔が作り笑いだということは、誰にでも分かった。




「それから?」



「それから、僕の悲鳴を聞いたみんなが駆けつけてきて、相手はさっさと立ち去って行きました。」




「…へえ」




斉藤はポケットに手を突っ込むと、しばらく沈黙した後に口を開いた。





「…命を狙われた動機は?思い当たるか?」




「い、いえ…だって僕はまだ刑事になったばかりだし、恨みを買うようなこと、なかなかできませんよ」



「だよな。
んじゃあ考えられる線としては、おめぇがあの遠藤さん殺しの一件の第一発見者だからってとこか。」



嘉山の顔が歪む。



「同一犯に狙われた…?」



「ああ、可能性は十分にある。おめぇが1番最初に見た事件現場と藪内さんが来てからの現場は状況が異なっていて、お前しか知らない事件現場が犯人逮捕への糸口になるかもしれねぇからな」




「…ですよね…あ、斉藤刑事。」




「ん?」




「ぼ、僕…


犯人の顔、見えたんです…」










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