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刑事とJK

第16章 過去




―――――――――――



「何を二人で喋ってやがる?」



ゆうひと藤野は振り向いた



「お、なんだ、いたのか斉藤」


「てめぇがコーヒー買いに行って全然帰ってこねぇから、
てっきり女の部屋にでも遊びに行ってんのかと思ったわ」




斉藤は、
藤野の座っている椅子の背もたれに座った



「で、何喋ってたんだ?」



斉藤はゆうひを見る



『…』



「…北田先輩や村上さんのことだよ」


斉藤は眉間にシワを寄せた




「なんだ…そんなつまんねぇこと…」



『…勝手に聞いて、ごめん』



「どうでもいい昔話だ…」



『どうでも良くない…』







「…」


『…』




「…じゃあ、俺は部屋に戻ろうかな」


藤野は立ち上がり、
自分の部屋に帰っていった






二人きりになると、
斉藤はまた口を開いた




「…どっから話聞いたんだ?」



『斉藤が刑事になったばっかのとこから…』




「そうか…」






ゆうひは涙を浮かべた


斉藤はぎょっとする



「何泣いて…
つーか泣くような話じゃねぇだろ!!」




『泣くような話しかなかったよ…!!』




ボロボロと涙が落ちる




「ちょい待てって…」



斉藤はゆうひの側に寄り、
服の袖で涙を拭ってやった





『ごめっ…最近涙腺が脆いみたいで…』



「そうみたいだな」





『…村上さんのこと、
好きだったんだね…』



「え…」


斉藤は遠い目をした


「そう…なっちまうんかな…」





『ほんとに…村上さんは…死んじゃったの…?』




「…ああ
オレは直接見てねぇが、
顔もわかんねぇほど焼けちまってたらしい…」




ゆうひはしまったと思った


斉藤にこんな苦しそうな顔をさせてしまった…




『ほんとにごめん…ごめん、ごめん…』




「お前が謝ることねぇだろ」



斉藤はゆうひの頭を
ポンポンと叩いた


ゆうひは黙って首を振った


これ以上何か話したら、
自分が崩れてしまいそうだったから…





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