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刑事とJK

第8章 看病





『それってどういう…///』


「お前はなんか…根が暗そうだからな
知らねぇ間に首でも吊ってもらったら困るし
刑事の仕事増やされたらたまんねぇよ」


『根暗じゃねーし!!
何なの、そんな理由で!?
ほんとうざい!!』


ゆうひは壁を思い切り叩いた

その衝撃で部屋が少し揺れるほど




「…お前はまだ18だろ?
これからもっといろんなこと知って、
経験しなきゃダメだ。
生きてる理由がわかんねぇなんて言うな」



『だってあたしは…お父さんもお母さんも
死んじゃったんだよ!?
友達も先生もみんな大っ嫌いだし、
みんなあたしのことが嫌いなんだよ!!
もう小犬しかあたしにはいなかったに…全部なくなっちゃった…
どうしてあたしばっかりこんな目に遭うのよぉ…!!』




ゆうひは斉藤の胸を叩いて、
そのままうずくまった

傷にその反動が響いたがそんなことは気にせずに、
ゆうひの震える肩にそっと手を置いた






「だからオレが
必要としてやるっつってんだ」



『……』






「それじゃ足りねぇか?
不満足か?」






ゆうひは小さく首を横に振った




「だろ?それにな…」




斉藤はゆうひを引き離し、
目を見て言った





「お前の両親や小犬はもう仕方がねぇ、だけどな、
学校の奴らが全員一人ずつ、お前に"嫌い"っつったのか?」



ゆうひはもう一度首を横に振る




斉藤は笑った




「絶対お前は生きなきゃだめだ。
それにほら、津森はまた遊びにこいって言ってただろ?
シゲなんて多分お前に惚れてんぞ?」




その笑顔をまともに受け取ることも

今から自分が作るであろう表情を
見せることも


何もできなくて
ゆうひは俯いた







『…る…』



「ん?」





『あたし…もっと生きる…
だから、必要として』




「さっきからそう言ってんだろ?」




その言葉に
持ち上がった顔は



今までで一番、いい笑顔だった










『ありがとう』





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