
願わくば、いつまでもこのままで
第9章 とまれない、とまらない
人の波にもまれながら
道を行く。
今日も
疲れた
「なあなあ、これから一緒にどうだ?」
同僚が俺の肩に腕を回して
片手をくいっと傾けた。
「おいおい、まだ7時だぞ?
せっかく早くあがったんだ
俺は遠慮しておくね」
小さな笑みを浮かべながら答える。
すると隣は不満そうに
「ちぇっ」とこぼした。
「なんだよ、つれねぇな
あれだろ!
家であの可愛い奥さんが待ってんだろ!
結婚早過ぎだろっ
あー、羨ましい」
大きな仕事を終え
ストレスが溜まっていたからか
彼はぐちぐちと喋り出す。
俺は呆れて「はあ」と苦笑した。
