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願わくば、いつまでもこのままで

第11章 邪魔者が一人






強く歯を噛みしめる





スッと伸びた陽の手は


胸ぐらを掴む兄の手首を掴む。




強く


強く





感情と直結しているようで






和斗は痛みに顔をしかめるものの



まだその笑みを口元に残していた。







「その表情は、図星ってことだよな」




そう言われ


はっと我に返るものの

陽は険しい表情を崩さない。



悔しそうに下唇を噛んだ。





「なんで気づいていないと思った?
お前は自分が顔に出やすいと自覚していないんだよな、今だって
そのうえ鈍感で…
俺の方がずっと前に気づいていたんだよ
こんなこと
だからお前がわけもわからず遠慮していたことも、もちろん知ってる」






「……え…」




呆気にとられた弟は

腕の力が抜ける。




和斗は内心ほっと息をついた。




「今までずっとそうだったろ
俺たち同じ人を好きになっては
俺に遠慮してるのか
黙って何もしなかった」





「そんな、いつから……」




「だから、最初から全部」





そして何も言えないようで


陽は黙りこくったまま


兄から顔を逸らす。







だが


次の言葉で


すぐにまた和斗の表情を確認した。











「でもな、陽
そうやってお前が遠慮して
俺がその子と付き合っても
長続きしないんだよ
それどころか振られるさ
いつも、俺はお前に負けてきた
いつも陽が好かれてた
みんな
お前のことが好きだったんだよ」
















「は……?」












兄の言葉に






目を丸くした。











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