
願わくば、いつまでもこのままで
第3章 抽選
抽選の後
俺達3人はまた駅までの道、商店街を歩いていた。
「それにしても、まさか泉が当たり引くだなんて……」
園田は俺が抽選で当たった券を、手に持って眺めていた。
「悪いね、俺が当たってさ」
「そんなこと誰も言ってないじゃない」
「そういう風に聞こえるんだよ」
オレと園田の目と目の間で火花が飛び散った。
と思ったらその目と目の間を梶木が手刀で割った。
「2人共何やってんのさ。
何でこの2人、微妙に中悪いのかなぁ」
「知らね、園田が俺のこと嫌いなんだってさ」
俺は冗談のように言ったら
園田は本気で怒ったように声を荒げてきた。
「なっ、そんなわけないじゃない!!」
予想外の大きな反応に俺は驚き目を見開いた。
横にいた梶木も確かに驚いてた。
けど、梶木の驚きはそこまでじゃなくて
驚いたすぐ後に
少し悲しそうな顔をしていた。
園田は園田で「あっ」と我にかえった。
気まずい沈黙
破ったのは園田。
「でさ、泉はその券誰と使おうと思ってるの?」
「あー……使わないで他の人にあげるつもり」
そう言ったら2人はすぐに驚いた。
「え、なんで」とどちらの顔も物語っている。
「だって誰と行けばいいのさ」
「私が一緒に行ってあげようか?」
「やだ」
「ちょっと即答しないでよ!」
「まぁまぁ、園田と泉じゃ遊園地で喧嘩するでしょ」
「梶木うるさいっ」……
話してるうちに駅に着いた。
園田は電車通学。
梶木は自転車。
俺がバイク。
3人はここまで来るとそれぞれ帰り始める。
俺もバイクに乗り走り出した。
だが向かうのは家じゃなくて
兄貴ん家
