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願わくば、いつまでもこのままで

第3章 抽選


園田が並んだ後ろに

俺と梶木も強制的に並んだ。




並んでから園田はウキウキしながら自分の番を待っている。


なーにがあんなに楽しみなんだが
たかが抽選で、子供じゃあるまいし。


俺は帰りたかったが

梶木が園田独り置いて行こうとはしないだろうし…

梶木もやるなら流れ的に俺もしょうがないってなるし…


「梶木、やっぱり2人で帰んない?」


俺は園田に聞こえぬように小さな声で梶木に言った。


「いや、でも次で園田の番になるし。ほら」


そう言った梶木が指差したところに
ちょうど抽選をやろうと取っ手を掴んだ園田がいた。



は…や……

どんだけ抽選繁盛してないんだよ…



ガラガラガラ…………トンッコロロ…


園田が回して箱から出てきたのは白い玉。


「いやぁお姉さん残念!」


そう言ったおじさんは園田に参加賞であろう
ポケットティッシュを渡した。

ざまあみろ、だなんて思ったり……


「ちぇっ」


その園田の次に梶木。

だが梶木も……

「あらま」

「お兄さんも残念!」

参加賞のポケットティッシュ。



そして俺だ。

俺もポケットティッシュかな……


そう思ってたら後ろから声が聞こえてきた。


「泉はどうせポケットティッシュでしょ」


……園田に言われるとポケットティッシュ嫌になるな。

というか「は」じゃなくて「も」だろ!せめてさ。

俺園田に嫌われてるのかなぁ。



ガラガラガラ…………トンッコロロ…

出てきたのは、銀色の玉。……ん?銀?


すると抽選のおじさんがカランコロンと持っていたベルを鳴らした。


「当たり〜当たりだよ〜」

「え、俺が……当たり?」

「やったねお兄さん!2等だよ、2等!」

「あの、2等って何ですか?」

俺がそう聞くと
抽選のおじさんは後ろに貼ってあった紙を指差しながら答えた。

「ここに書いてあるだろ?
遊園地入場無料券ペアセットだよ」

遊園地入場無料券……ペアセット⁇

俺は、それを誰と使えばいいんだ?




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