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願わくば、いつまでもこのままで

第8章 変化





__バタン


ようやく部屋に入り
取り敢えず玄関に和君を降ろす。


「はあ……」


部屋に上がると力が抜けてしまい

和君の隣に膝から落ちてしまった。




……緊張、した


なんで陽君があんなところに…

…彼女連れて


偶然が重なり過ぎよ、本当に




でも、最後怒鳴っちゃって、私らしくない

陽君も落ち込んでたな…



「……あ…れ……ん、ここ…」



和君のか細い声が聞こえる。


私は和君の肩を揺すりながら言った。




「和君、大丈夫?起きた?」




「あー……比奈
水、水……」




「ああ、ちょっと待ってね」





ゆっくり立ち上がると台所に向かい、すぐに戻る。


水の入ったコップを彼の手に自分の手を重ね
しっかり持たせた。




「悪い、ありがと」




ゴクゴク…




水を飲み終えると

とろんとした眠そうな目が私を見た。



それが可愛くてクスッと笑って髪を撫でる。




「比奈……」



「何?和君」



「ん……」




和君の手が私の後頭部に回る。


引き寄せられ唇が近づく。



「比奈……」



「あ……」




だめ




和君が眉を寄せた。



「あ、ごめんなさい……」




気づいたときには


私の手が和君の唇に蓋をしていた。




その手を離すと私は逃げるように立ち上がった。



「和君、立って。疲れてるでしょ。もう寝よう」



和君に手を貸し立たせ、ベッドへと誘導する。



そのまま今日は2人いっしょに眠った。







眠る直前まで


私の頭の中には陽君がいた。



私の言葉で落ち込んだ陽君の姿があった。





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