夢のうた~花のように風のように生きて~
第4章 運命の邂逅
定市は重い瞼を開いた。眼が覚めてみれば、身体はけだるさを残してはいたものの、満ち足りた気分だった。
夜明けには、まだ間がある。
また、お千香が欲しくなっていた。
定市はお千香をもう一度抱こうと、その手を隣に伸ばした。昨夜、お千香が烈しく抵抗したために、思いがけず荒々しく組み敷いてしまった。そのことを、定市は少し後悔していた。
初めて男を受け容れるお千香の身体のことをもう少し思いやっても良かった。何と言っても、お千香の身体は同じ年頃の十六歳の娘よりはかなり稚い。せいぜいが十二、三歳ほどのものだろう。
お千香の泣き顔や抵抗に、定市自身かえって煽られた部分が大きかった。昨夜の手荒な扱いは、お千香の心にも大きな傷を与えたに相違ない。今度はもっと優しく抱いて、男女の営みというものが本来は快いもので歓びを伴うものだと教えてやれなければと思った。
そんなことを考えつつ手を伸ばしてみても、傍に横たわるはずの少女のやわらかな身体には手は触れず、空しく宙を泳ぐばかりだ。
ハッと我に返って横を見た時、既にそこにお千香の姿はなかった。
昨夜のお千香との一夜を改めて思い起こし、定市は満足げな吐息を洩らした。やわらかな身体、絹のような肌理の細やかな膚、まだ稚いけれど、形の良いふくらみ始めたばかりの乳房。未成熟で清らかな肢体がかえって情欲をかきたて、定市は我を忘れるほど、お千香の身体に溺れた。思った以上に、お千香と過ごした夜は定市にとって忘れられない、愉悦を伴うものとなった。
定市は立ち上がり、念のために隣の部屋を覗いてみたが、当然ながら、お千香はいない。
その時、初めて、お千香が自分から逃げ出したのだということに気づいた。彼にこれまで知る中で最高の悦楽を感じさせた少女は、まるで霞が消えたようにいなくなってしまった。
定市は冷たい光を放つ眼を怒りで燃えたぎらせた。
「この私から逃げられると思ってるのか、お千香。たとえ地獄の果てまでもお前を探しにゆくぞ」
夜明けには、まだ間がある。
また、お千香が欲しくなっていた。
定市はお千香をもう一度抱こうと、その手を隣に伸ばした。昨夜、お千香が烈しく抵抗したために、思いがけず荒々しく組み敷いてしまった。そのことを、定市は少し後悔していた。
初めて男を受け容れるお千香の身体のことをもう少し思いやっても良かった。何と言っても、お千香の身体は同じ年頃の十六歳の娘よりはかなり稚い。せいぜいが十二、三歳ほどのものだろう。
お千香の泣き顔や抵抗に、定市自身かえって煽られた部分が大きかった。昨夜の手荒な扱いは、お千香の心にも大きな傷を与えたに相違ない。今度はもっと優しく抱いて、男女の営みというものが本来は快いもので歓びを伴うものだと教えてやれなければと思った。
そんなことを考えつつ手を伸ばしてみても、傍に横たわるはずの少女のやわらかな身体には手は触れず、空しく宙を泳ぐばかりだ。
ハッと我に返って横を見た時、既にそこにお千香の姿はなかった。
昨夜のお千香との一夜を改めて思い起こし、定市は満足げな吐息を洩らした。やわらかな身体、絹のような肌理の細やかな膚、まだ稚いけれど、形の良いふくらみ始めたばかりの乳房。未成熟で清らかな肢体がかえって情欲をかきたて、定市は我を忘れるほど、お千香の身体に溺れた。思った以上に、お千香と過ごした夜は定市にとって忘れられない、愉悦を伴うものとなった。
定市は立ち上がり、念のために隣の部屋を覗いてみたが、当然ながら、お千香はいない。
その時、初めて、お千香が自分から逃げ出したのだということに気づいた。彼にこれまで知る中で最高の悦楽を感じさせた少女は、まるで霞が消えたようにいなくなってしまった。
定市は冷たい光を放つ眼を怒りで燃えたぎらせた。
「この私から逃げられると思ってるのか、お千香。たとえ地獄の果てまでもお前を探しにゆくぞ」