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【リレー小説】ゾンビ編


皆様、リレー小説をしませんか?

お題は「ゾンビ」です。


(ルール)

★どなたでも参加OK。
★初めましてなどの挨拶は無用。
★前の人の文章を読んで話を繋げる。
★順番は決まってないので被った場合は、先に書いた人の文章を優先する。それかうまいこと繋げる。



リレー小説についての雑談は【気分屋さんの雑談】の方にお願いします☆

ご参加お待ちしております\(^o^)/





42 “ピリリリ、ピリリリ”


 拓也の携帯が鳴った。すぐさま、電話に出る。


「はい……え……なんだって!?」


 表情を曇らせ、電話を切る拓也。


「どうした?」と滝繁がきいた。


「生き残った俺のツレからだ……恭平が……」


「えっ!? 麻美とかいう女に殺害されたって!!」


「よくわかったな……ま、そうらしい。なぜ麻美が……」


 すると、謎のゾンビ水戸が1通の封筒を滝繁に渡した。


「え、なんだよ」


 水戸はそれだけを渡すと、セグウェイの乗って、去っていった。


「あんた!! 味方になってくれんじゃねえのかよ」


 拓也の制止も届かず、水戸は行ってしまった。


 滝繁は中の手紙を読んでいた。


「拓也くん。これ、ウイルスを使ったマウス実験の結果だ。感染に関してオス、メスと違いが出るらしい」


「なんですって?」


「オスはわずか5秒で脳をやられ、肉体が腐敗化するが、メスは色食が強くなり、愛する者を取り込んでゆっくりと腐敗化を進める。つまり、ゾンビ特有のカニバリズムの志向が先に出てしまうんだ」


 だから麻美が……放っておけば美幸も……。


43
  ズドンッ! ズドンッ! ズドンッ!

     ズドンッ!  ズドンッ!

  あなた達はもう人間じゃない!
    
    犠牲者でもあるけどね!

美幸はショットガンを使い、麻美と部屋の奥に潜んでいるゾンビを容赦なく倒した。フルオートマチックなので引き金を引くだけだった。

   ガチャ ガチャ
    
       ガチャン!

麻美のショットガンは、5連発式だった。次の敵が出る前に素早くマガジンを交換する。ついさっきまで女子高生だったとは思えない、手慣れた手つきだ。

この部屋の奥にある保冷庫にウィルスは保管されていたはず、パスワードを知っているのは
滝繁先生だけのはずだわ…なのになぜ!?…

   あっ!まさか!あなたなの?!
  あなたが保冷庫を開けたのね!!

薄暗い保冷庫の裏側からチャイナ服を来た、女子高生が現れた。彼女の名前は中森小松菜、演劇部員だが滝繁先生になついていた。

44 「中森小松菜さん……あなただったの?」


「なにが?」


「4番街の中華料理屋“天々”でアルバイトしていて、滝先生がそこの胡麻団子をよく買うことを知って、それから滝先生になついていたのね。売上があがると、時給が50円アップするんでしょ」


「うるさい!!」


「保冷庫を開けたのは、中森小松菜さんあなたでしょ」


「いちいち、フルネームで呼ぶな!!」


「どこまでが名字で、どこからが名前か、同じ学校にいながら知らないのよ」


「そうよ、私が開けたの」


「あ、いきなり白状した。なんか、突っ込んではいけないことに突っ込んだかしら?」


「とりあえず美幸さん、その銃口を下げてよ」


 美幸は渋々、ショットガンを下ろした。


「私、保冷庫の番号……知ってる。でも……ここにウイルスはもうないわ。ワクチンならあるけど」


「いや、それ必要でしょ!! てか、ウイルスはもう無いの?」


「かもね。でも、それは私じゃない」


「じゃ、誰よ……」


 中森小松菜は肉魂が散らばる床に目を向けた。


「知らなかった? 恭平よ。恭平が関わってた」


「え?」



45 「彼は自分自身の肉体にワクチンを埋め込んでいたの。もしも自分が死んだり、の肉体が破壊された場合、散布されるように保険として……」
「それじゃあ……」
「そう。彼は身を呈して私たちを助けたのよ」

千切れちぎれとなった肉片を見つめ、浮かび上がってくるのは悲しさだけだった。もう食欲など微塵と感じられない。そこにあるのは喪失感と、感謝。それだけだった。
46
それはこの悲惨な非日常の結末を物語っているように思えた──

だが違った。

激しい爆音が遠くで鳴り響いている。

その音に驚き空を見上げると灰色の煙がドクロのような形を描いている。

それぞれに生き残った人々は首を仰いだまま目を見開いた。

「まさか…っ…」

滝繁は恐怖に身を震う。

「あの黒煙は核だ…っ…」

信じられないとばかりに呟く滝繁は急に辺りを見回した。

「生き残ってる奴は居ないか!?」

滝繁の耳にはそう聞こえてくる。滝繁は急いで通りに走り出た。

47 「おい!! 滝さん、急に走るなよ」


 拓也はあわてて、滝繁を追いかける。


「バカ!! 政府だ、政府が動いたんだ。ウイルスが拡散している地域をまとめて灰にしようとしてやがる!! 早くなんとかしないと」


「いや、そんな簡単に政府に話が出来るはずないだろ!!」


「違う、ワクチンだよ。ワクチンを撒けば、空気そのものを変えられる。てか、パンティで口を押さえろ!!」


「なんで抗ウイルス剤が、パンティに染み付いてんだよ!」


「俺の趣味だよバカ野郎!!」


 滝繁の趣味に、命を守られている。次第に自分も、その趣味に染まろうとしていた。


「拓也!」と滝繁が進行方向の反対側を差す。


「なんですかっ?」


「お前、学校に行けっ!」


「はぁ?」


「学校の地下に保冷庫がある。その中にペクチンがある」


「ワクチンだろ!! ペクチンはジャムに入ってる食品添加物だ!!」


「保冷庫のパスワードは2764だ。後は頼んだ」


「おい!! 滝さん!!」


 滝繁は、なにを思ったか、感染者が溢れる街へ、走って行った。


48
「くそっ!俺、自信ねえよ…」

滝繁に言われるまま、保冷庫にきた拓也は額に滲む汗を拭った。

「ええと…そうだっ…たしかナナフシ……そう!番号は7724(ナナフシ)だったな!」


拓也は異常に記憶力が悪かった……。

意気揚々と思い出した暗証番号を打ち込むと保冷庫の中で爆発音がしている。

49 (今頃、拓也くんは、上手くやってくれてるはずだ)


 滝繁はそう信じて、街を歩き続けた。


 実際は「あれ、そう言えば、ナナフシってどんなやつだっけ? バッタみたいな?」と拓也は、違うことに思考を持っていかれていた。


 滝繁は疲れてフラフラだった。


「そうだ、ブラウンジャックの野郎、勝手に殺害されやがって、5000万そのままじゃねえか」


 まだ残っているか、確かめたかった。


「あった……」


 チェーンソーで殺害された後、ゾンビに食われたのか、無惨な姿で、道に横たわっていた。


「悪いな。ポケットの中、探らせてもらう」と滝繁はブラウンジャックの亡骸の衣類に、手を伸ばした。


 パンティがあった。


「これはもらう」


 そして、5000万の小切手があった。


「小切手か……」


 滝繁はそれらをポケットに入れると、すぐさま、その場から離れた。


「ここは、ゾンビも歩かないほど、朽ち果てたか……待ってろ新型ワクチン、ばらまいてやる」


 予防薬でしかなかったワクチンに改良を重ね、予防と改善を兼ね備えた新薬。


 拓也はそれを手に入れたのか?


50
「ぐっ…ふっ…」

異様な匂いが立ち込める中で、緑や赤い液体がそこらに散乱していた。

爆発で吹き飛ばされた保冷庫のドアの下敷きになった拓也は、重い体を引きずりながらそこから這い出る。

「痛っ…暗証番号をミスったってことか……っ…」

何かの仕掛けが作動して、中の薬品が全て駄目になっている。

それはまるで何かの証拠隠滅を計ったようにも思えた。

拓也は足を引きずりながら何とか立ち上がる。

軋むように痛む身体を庇いながら煙立つ保冷庫の中を見つめると、拓也はハッとしていた……。

(この保冷庫を管理していたのは確か──)

「──…っ!?…」

何かを思い出した拓也は薄暗い保冷庫の奥で、煙りに紛れた人影を目にして思わず後ずさった。

徐々にはっきりしたその影は、薬品を被ったせいか全身が火膨れを起こしブクブクと泡を吹いたように皮膚がただれている。

そのおぞましい見た目に拓也はうっと口を声を漏らし、目を背けた。

51
      ガチャー!

拓也の後ろから山田美幸が出て来て、ドロドロニ溶けた肉体を目掛けてショットガンをかまえた。

ねえ!小松菜!本当に、撃っていいのね!?

ええ、お願い、二、三発こらしめる為に

      撃っちゃって!

こんな時に、演劇で使う、ミジン隠れの術を使うなんてシャレにならないわ!


   おーし!わかたった、小松菜!


    ズドンッ! ズドンッ!

        ズドンッ!!

容赦なくショットガンを撃つ山田美幸、気性の荒い女子高生だった。

      痛いっ!痛いっ!

   やめてよね!実弾で打つのは!!


   ズルズルズルズルーー

慌ててチャックを降ろす音が聞こえて来た。
演劇部の彼は、防弾服を造らせたら世界一の(株式会社)防弾服社に特別注文で造らせた、専用の人間型のぬいぐるみを着ていたのだ。勿論実弾は貫しない仕様になっていた。

おいらの名前は、服部さすけ、って言うんだ

    はい、これ!新型ワクチンね

けろっとした顔をした服部さすけは、よろしくねと明るく挨拶をした。



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