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短編集

第2章 最後の柿

次の夜、そしてその次の夜、更に次の夜…男は連夜、柿を盗んできては柿を食らった。
もう止まらなかった。
一度あの甘い興奮を味わってしまえば、後には引けなかった。

―次は、次は…。

柿にもいろいろあった。
甘いもの、酸っぱいもの、まだ熟れていないもの、熟れすぎているもの…。
男にとって、その違いも楽しみの一つになっていた。
写真を撮り、評価をつけ、ブログにアップして日記にした。
慣れ始めた頃には、渋柿等の評価の低い柿は、一口食べてナイフを突き刺して捨てるようになった。

そうして、柿は最後の一つになった。

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