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短編集

第14章 『越冬ツバメ』

幸福な王子という童話を知っていますか。

金ぴかの体に、サファイアの眼、鉛の心臓と自我を持った立派な王子様の像の話です。

この話にツバメが登場します。

ツバメは優しい心を持った王子のために、不幸な人々に王子のサファイアや体の金箔を剥いで、運んでやるのです。

ツバメは、渡り鳥ですから、冬が来る前に、暖かい南の国に飛んでいきます。

しかし、王子の願いを叶えるため、ツバメは渡らず、王子の手足となって貧しく不幸な人々の元に、王子から剥ぎ取った宝を届けてやるのです。

ツバメは動けない王子のために色んな話をします。

そうして、冬となり、サファイアや金箔を失ったみすぼらしい王子と、寒さに凍えるツバメが残ります。

ツバメは、最後の力で王子にキスをして、力尽きてしまいます。

王子は壊され、ツバメは捨てられてしまうのだけれど、天使によって、神様の元へ導かれ、天に昇って幸せに暮らすのです。


そんな、お話。

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