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短編集

第7章 『飛行願望』

少年はハイになっていた。
薬の効果だ。

ハイになるかローになるか、個人差や体調による。

振り幅が広い薬だ。

そのときのキマり方次第。
キマりようによっては、トベルのだ。

言葉どおり。

場合によっては、トリップすることもあるが、それはかなり危険を伴う。

だが、少年にとって、この薬は体に合っていた。

だから失敗したことはない。

いつもトベル。

飛ぶ快感は、更に少年の心を高揚させる。

この、全能感。

たまらない。

少年は体に回転を加えながら、スピードを上げていく。

このままどこまでも飛んでいけそうな気がする。

森を越え、国道を越え、海岸線に出る。

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