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短編集

第7章 『飛行願望』

ビルの合間を飛行する。
人々が見上げている。
綺麗なお姉さん、はげちゃびんのおっさん、孫の手をひくばあちゃん…。

突き出た看板には要注意。
この速度で衝突すれば命に関わる。

メトロの真っ只中を縦横無尽に飛び回る。

「ああ、気持ちいい!」

一番高いビルの下から上へ、側面に沿って上層階へ。

窓が開けられ、声を掛けられる。

「ようこそ。スカイバー飛空挺へ」

ビッとした黒のスーツで決めた執事風のバーテンダー。

くるくると宙を舞うボトルから注がれるリキュール。
シェイカーがリズミカルに上下する。

少年に渡されたのは、青色のオリジナルカクテル、「スカイブルー」。

爽やかな酸味に、わずかに感じさせる果実の甘味。

空を飛ぶ快感そのもの。

少年はグラス片手に更に上空へ。

街を見下ろし、ここらで乾杯。

グラスを空ける。

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