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短編集

第7章 『飛行願望』

落下する。

落下する。

スカイブルーを飲んだ少年は飛行力が弱まって、ふらふらと落下する。

このままでは、地上に下り立つ前に、飛行力を失って、地面に叩きつけられてしまう。

まだ地面まで200メートル以上ある。

しかしどうにもならない。

頭がくらくらする。

アルコールは薬の作用を助長したり、妨げたりする。
通常のアルコールからくる酔いではない。

どうにも抗えない。

加速する。

―飛んで死ぬなら仕方ないか。

そう、少年が覚悟したとき、ふっ、と体が宙に浮いた。

自力飛行ができるようになったのではない。

誰かが少年の体を抱きかかえたのだ。

「危なかった。もう少しで死ぬところね」

少女だった。

黒髪の美しい少女。

腕力が強いのではなく、飛行力が強いのだ。

少女は少年を軽々と持ちあげている。

「カクテル…飲んだでしょう?」

少年は突然の質問に曖昧にうなづく。

「ダメよ。飛行中にそんなことするなんて自殺行為だわ。」

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