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短編集

第7章 『飛行願望』

ふらつくが宙には浮いていられそうだった。

「うん、まあ、まだ危なっかしいけど…手を引いてあげるわ」

女の子に抱いてもらうのを断るなんて失礼しちゃうわね…とかなんとか笑いながら少女に手を引かれて飛んでいく。

旧市街の上空に来た。

街の明かりが、ぽつぽつとしていて少ない。

見捨てられつつある街。

「おっ新顔だな?」

この上空に数十人の若者が集まっていた。

全員、飛んでいる。

声を掛けてきたのは同い年くらいの少年だがピアスをいくつも空けていた。

「なんだ?調子わりぃのか?」

「カクテル飲んだらしいよ」

ピアスに少女が返事をする。

「そうか仕方ないな、じゃあ今日は後ろの方で大人しくしてろよ」

女の子に手を引かれていても冷やかされなかった。

飛ぶときに調子が悪くて、男女問わず補助がつくのは珍しいことではないかもしれなかった。

少年少女達の群衆にひときわ目立つ少年がいた。

黒髪の鋭い目をした少年。
彼がリーダーだと少女は教えてくれた。

「さあ、いくぞ!」

黒髪が手で合図をして新市街に向けて飛んでいく。

続けて群衆も飛んでいく。
大集団が一斉に空を飛ぶ姿は壮観だった。

「さ、私達もいくよ」

少女に手を引かれて最後尾につく。

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