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短編集

第7章 『飛行願望』

その先には…ネットが張られていた。

ビルとビルの間に透明な細い糸でできた網が張られていたのだ。

罠だった。

スーツに追われて冷静さを失った少年達は、見えにくいネットに次々とからまっていく。

「うわあっ?!」

「なんだ!?」

自分がどうなっているのかさえ把握できない。


無論、少年と少女のペアも罠の餌食になった。

「くそっ!逃げろっ!逃げろー!」

少年は少女の体からなんとかネットの糸を取り外して叫んでいた。

少女の後ろにはスーツが近づいていた。

―はやく、はやく逃げろ!
完全にネットにからまって動けない少年を前に少女はどうしてよいかわからず、自分を見失っていた。

「やめろぉおお!」

バシッ!

スーツが少女に電気ショックを加え、少年の目の前で少女が気を失い、落下し、地面に赤い花を咲かせた。
衝撃だった。

さっきまで一緒で仲良くなった少女がわけもわからず、落とされた。

何も考えられなかった。

あまりのことに怒りも沸いてこなかった。


そして、少年は捕獲された。

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