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短編集

第2章 最後の柿

男は毎日柿の実を見ているうちに、柿の一つ一つが愛らしく感じるようになっていった。
日を追って赤く染まり色ツヤを増す柿たち。
いつしか、なんとかして食べたいと思うようになっていた。

「どうやったら食べられるだろう」

普通に考えれば、持ち主に頼めばよさそうなものだが男にはそれができなかった。
一つは貰えても全部はもらえないだろう。
それに、どうせ食べるのなら最高の食べ頃でもいで食べたい。

「絶対食ってやるからな」
そう決心して男は柿達を見るのだった。

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