ホストクラブの罠(不良総受け)
第3章 危険な香り
バタン―――――
「透吾さん、やりすぎ。」
ぼそっと低音の声が背後から響く。
「邪魔するな。教育中だ。」
「残念ながら、そこの新人が店長に呼ばれてるんで、もらっていきますよ。
教育はまたの機会にしてください。」
気だるそうな声で透吾に意見する声に聞き覚えがあった。
ふっと後ろを振り向くと、そこにいたの思った通りさっきの奴だった。
このストックルームに来る前に、廊下でぶつかった俺の事を中坊と罵ったやつだ。
「お前・・・」
俺の腕を拘束していたネクタイを素早く外し、透吾の投げやったそいつ。
「いくぞ、ちびっこ」
「あ、ああ・・・」
フラフラする足に無理やり力を入れ俺はその場をあとにした。
助かった・・・
ホッとした途端、俺はその場にヘタレこんだ。
「忠告したそばから犯られそうになって、お前馬鹿か?」
「う、うるせ・・・」
ヘタレこんだ俺の腕を掴み、立たせようとしているそいつ。
媚薬のせいか足がもつれてうまく立てない。
「ってか・・・お前誰だよ・・
さっきからちびっことか中坊とか、人のこと馬鹿にして・・」
「俺は恭平だ。
一応、ここのホスト。お前の先輩。」
恭平は淡々としゃべりながら俺を立たせようと腰に手を回した。
ビクン―――――
「ば、バカ・・・触んな!」
俺は勢いよく恭平の手を振り払った。
身体が熱い・・・
触られたところからジワジワと熱が広がって行く気がした。
「お前、顔赤いぞ。」
ふっと指で頬をなぞられる。
「アッ・・・」
俺の変な声に恭平は、なるほどという顔をして苦笑いをした。
「透吾さん・・
また変なもん飲ませたな・・・」