ホストクラブの罠(不良総受け)
第3章 危険な香り
うなだれる俺の肩をポンと叩き、恭平は続ける。
「まぁ、悪ささえしなけりゃ透吾さんに捕まることもねぇし、しっかり働けよ。」
諦めるしかないと悟った俺は、はぁと大きなため息を一つついた。
「まぁ・・・・しゃーねーな。」
「スーツ好きなの選べよ。あと20分で営業始まるぞ。」
「あぁ・・・・」
俺は仕方なくレンタル用と思われるスーツを選び、その場で着替えはじめた。
スタッフルームにいた数人のホスト達は、珍しいものでも見るように俺を見ていた。
きっといかにもヤンキーな俺が働くのが珍しいんだろう。
そう思いながら、俺はスーツのボタンを止めていく。
着替えている最中、ずっと浴びる視線に若干イラッとしたものの、今日から1年間は身動きとれないとわかったからには下手に敵を作りたくない。と心を鎮めた。