359°
第6章 熱意と決意
蒼士は無言で、弦の張り替え作業を始めた。
オレはなんとなく興味が沸いてきて、蒼士の斜め後ろの席に座る。
一瞬チラッとこっちを見たが、蒼士は気にせず作業を続けた。
「…弦って、よく切れるもんなの?」
何気なしに質問してみる。
「…メーカーにもよる。あとは新品は意外と切れやすい」
無愛想だが質問に答えてくれた蒼士に、オレは少しホッとした。
「このギターの名前なんていうん?」
「フェンダーのストラトキャスター」
「いくらした?」
「15万」
「15万!?自分で買ったの!?」
「当たり前だ」
オレは「はぁ~」と感嘆した。
だからバイトしてんだな…
15万って、すげぇよ…
オレはギターケースの中から少し見えていた、もう一つのギターに目がいった。
「それは?」