359°
第6章 熱意と決意
オレの携帯が再び震える。
ディスプレイを見ると、また順平からメールが入ってきた。
《最前列に来い》
はあっ!?
なんで命令…
仕方なしにオレは人の合間を縫って、最前列に向かって歩き出した。
盛り上がってるのは前の方だけで、後ろの方はボーッと見てる人が多い。
オレはふと、ステージを見上げた。
どこかで見たことのある顔に、記憶をさかのぼってみる。
あっ…
あいつらじゃん!
さっき、『アリスの森』でいちゃもんつけてきた…
「まあまあだなー」
演奏が響く中、誰かの声が微かに聞こえてきた。
「ボーカルがいまいち」
確かに…
ちょっと音程外れてるかも…
でも順平よりは全然マシだw
「あ、卓也くん見っけ!!」
「!?」
自分を呼ぶ声がしたかと思うと、急に腕をグイッと引っ張られた。