359°
第6章 熱意と決意
同時にパッと、ステージが明るくなった。
菅生さんも高藤さんも蒼士も、準備万端で定位置についている。
が、マイクスタンドの前にはボーカルはいない。
いつまでたっても演奏が始まらないので、次第に観客がざわつき始めた。
「…」
いきなり窮地に立たされたオレは、不安げにステージを見上げた。
あの場所で歌いたいと思った…
初めて歌った時のような高揚感を、何度も味わいたいと思ってた…
だけど、怖い。
自分にボーカルが勤まるのかどうか…
うまく歌えれるのかどうか…
不安にかられて足が動かないんだ。
オレは拳を握りながら俯いた。
キミイさんや順平の視線が、痛いほど突き刺さってくるのがわかる。
自分でも情けないと思う、
でも…