359°
第6章 熱意と決意
「じゃあ、楽しもうぜ!!」
ガッと順平の腕が首に回った。
引きずられるように、ステージに向かわされる。
「ちょっ…順平!?」
「いい加減素直になれよ、卓也。ほんとは歌いたくてしょうがなかったんだろぉ~?」
「…///」
もう、隠しきれない。
オレの胸はさっきよりも高鳴っていた。
ステージに上がると、みんながオレを迎えてくれる。
言葉を発しなくとも、気持ちは通じていた。
今はめいいっぱい楽しもう、
それだけだ。
オレは観客に振り返る。
そこは初めて見る光景だった。
たくさんの人が、オレたちを好奇心の目で見上げている。
不思議と気持ちは落ち着いていた。
なぜだろう…
さっきはあんなに不安だったのに…
今は歌いたくて仕方がない。